標準報酬月額の決定方法を教えてください

標準報酬月額の決定方法には、資格取得時決定、定時決定および随時改定の3つがあります。

資格取得時決定(入社時決定)

標準報酬月額は、入社時のその人の賃金額や通勤定期代等を含む報酬月額を98,000円から620,000円までの30等級に区分した標準報酬月額にあてはめて、その人の入社月から最初に到来する8月までの標準報酬月額となります。

定時決定(算定基礎届)

毎年、7月1日現在の全被保険者について、その年の4月、5月および6月の賃金総額の月平均賃金額を基準に標準報酬月額にあてはめて、その年の9月から翌年8月までの1年間の標準報酬月額になります。毎年、一定の時期に実施されることから定時決定といわれています。

なお、年4回以上の賞与額は、過去1年の賞与の総額を12で除した額を各月の賃金額に加算して標準報酬月額が決定されます。

随時改定(月額変更届)

固定的な賃金が変動した場合、その変動した月から3か月間の月平均賃金額を基準に、それまでの標準報酬月額の等級と「2等級以上の差」の生じた場合に、変動した月の4か月目から最初に到来する8月までの標準報酬月額となります。

また、60歳以降も継続して雇用され賃金額に変更がある場合に限り、随時改定によらず60歳の定年の日の翌日を資格喪失日とする資格喪失届と定年日の翌日を資格取得日とする資格取得届を同時に提出することで、60歳以降の標準報酬月額を決定する特例があります。

また、育児休業等の終了後に3歳未満の子を養育する被保険者の場合は、1等級の差が生じた場合でも育児休業等終了時改定として標準報酬決額が改定されます。

標準賞与額の決定方法

年3回以下の賞与額は、1回の支給総額の上限額を150万円として、千円未満を切り捨てた額を標準賞与額とし、支払日から5日以内に被保険者別に賞与支払届を提出することになっています。

これらの標準報酬月額や標準賞与額は、標準報酬月額の決定や改定および賞与支払届を提出し、基礎年金番号ごとに社会保険業務センターで管理され、将来の年金給付の額の計算の平均標準報酬月額や平均標準報酬額が計算され年金額に反映されることになります。

また、平成16年の法改正により平成19年4月から70歳以上の被用者にも65歳以上の在職老齢年金の仕組みが適用され、年金の一部が減額されることになっています。

これに伴い、厚生年金保険の適用事業所に70歳以降も継続雇用された場合や70歳以上で雇用された場合、またはこれらの人が退職した場合は「70歳以上被用者該当・不該当届」を、賃金額および賞与等を支払った場合は「70歳以上被用者・算定基礎・月額変更・賞与支払届」を提出する必要があります。これによって、65歳以上の在職老齢年金の仕組みを適用して年金の一部が減額されることになります。

なお、70歳以上の被用者は、厚生年金保険の被保険者にはなりませんので保険料の負担はなく、被保険者期間にもなりません。