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q 給与を払い過ぎてしまった場合の回収方法を教えてください

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給与計算事務の経験者なら一度は経験しているかと思います。

残業時間の集計ミスで残業代を払い過ぎたり、月変時などに本給を入力誤りとか給与事務担当者のミスで過払いしてしまうケースもあれば、本人の申告が怠慢で扶養手当や通勤手当を過払いしていたなんてケースも結構あります。

会社側のミスで、少額であれば本人によく説明して、「来月で調整させてね」ということで一件落着ですが、これが長期にわたり過払いになっていた場合は面倒なことになります。

数十万になるとそうそう簡単に給与から調整するわけにもいきませんよね。この場合、分割での方法を模索することになります。

それでも相手が相談に乗ってくれればまだ良いのですが、会社が半分かぶるなんてケースもあったりするようです。お互い内密にという条件で。

本人の不申告による手当の過払いの場合は悪質なケースでは確信犯で長期にわたって受給し続ける者もいたりしますので、この当たりは就業規則できちんと処分などの項を入れておきましょう。

まあ、法的には民法上の不当利得となるので、会社には返還請求権があります。

一方、基準法では「賃金全額払い」の原則があり、法令に定めのある場合や労組等との控除協定がある場合を除き、賃金は全額支払わなければならないことになっており、おいそれと控除するわけにもいきません。

もちろん賃金の過払いを給与控除するには、その旨の控除協定を締結しておけば問題ないのですが、普通みっともなくてこんな協定を結ぶことはありません。

ところが、このような賃金控除の協定がない場合でも、「前月分の過払い分の賃金を翌月に精算する程度は、賃金それ自体の計算に関するものであり、基準法第24条の違反とは認められない」(S23.9.14基発第1357号)との行政解釈があり、条件に合致すれば控除することができます。

また、最高裁の判例にも、「調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期において、かつ労働者の経済生活の安定を脅かすおそれのない場合なら許される」というのがあります。

これらのことを総合的に勘案すれば、過払い後3ヶ月程度の期間内で、その額が高額でなければ、控除について事前に本人へ通告を行うことにより過払い分の給与控除を一回で行うことも可能と考えられます。

これと異なり、数ヶ月もの過払いの場合は控除額も高額になると思われ、一度に給与から控除することは困難でしょう。

労働者の経済生活の安定を脅かす恐れがあるというのが大きな理由です。このような場合は、別途本人に返還請求を行い、返還方法を協議して決めた方が安全です。本人が認めれば分割控除もできなくはありませんが、前記解釈を厳密に考えれば別途返還してもらった方がいいかも知れません。
なお、退職間際の人では退職金から控除するケースもあるようですが、退職金も賃金の一種なので考え方は一緒です。


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